青年会議所米穀部会ウェブサイト

ビルボード.psd

基本理念

2010年代 米穀部会 基本理念

1. はじめに

 この10年、わが国の食糧事情は、消費者の米離れ、価格低迷による減反政策の強化、流通構造の再編など大きく変化してきました。われわれ米穀部会はこれからの運動をどう模索していくかが非常に重要な課題となってきます。
 これまでも目まぐるしく変わる農業政策によって、翻弄されてきた業界にとって2009年の政権交代がどう影響してくるのでしょうか。食糧の自給率が低下の一途を辿り、これまでも幾度となく農業政策によって自給率の向上を図る試みがなされてきましたが、史上初の人口減少への転化、食の欧米化、貿易の摩擦等により改善の兆しすら見えないのが現状です。
 さらに追い討ちをかけるように世界的な不況が日本経済を襲う中、我々は変革の能動者たらんとする青年として、この業界においてどう責任を持ち、行動しておくことが必要なのでしょうか。

2. 生産

 下がり続ける米価に生産地は疲弊し、農村の維持、農業経営が成り立たなくなっているのが現状です。
前段にも述べたように長く続いてきた減反政策、「猫の目」とも揶揄される農業政策に生産地は翻弄され、生産者の「米づくり」への意識低下、耕作放棄地などの増加が懸念されるようになりました。
政局の変化により農業政策が劇的に変化する時代、生産地にどう影響するのか推し量ることはできませんが、米穀業界全体にとっては注視する必要があります。
 これまでの政策の中で農地の集積や集落営農、法人化が進み、農村が変化しつつあります。米の生産性だけではなく、グリーンツーリズムや治水効果など環境的な側面からも業界全体で農村の未来を考えるべきではないでしょうか。
 また、米の需要拡大を目指し、米粉や飼料米など多目的における利活用が一層進む中で、我々も産地との連携を図り、対応していかなければなりません。

3. 消費

 米消費量の減少、少子高齢化および人口の減少が始まった現状の中、消費拡大をうたっても大幅な増加は見込めません。さらに株価低迷、止まらぬ円高、デフレ経済の渦中においては国民全体が低価格志向になり、小麦より高い価格の米はさらに敬遠される風潮にあります。
 日本の主食である米を、どう広く国民に呼びかけるかを部会内で細かく検討し、イベントや媒体を利用し、その価値を見直すよう国内需要を促す一方で、いまはあまり定着していない国外への供給も増やしていく必要があります。

4. 業界

 お米に対する信用、安心だけでなく安全までも奪ってしまった事故米事件、消費者の米業界に対する不安を払拭することは非常に困難な状況であるといわざるを得ません。
 私たちは業界のリーダーとして、政府、政治に何かを求めるのではなく、自らの手でこれからを切り開いていかなければならないのです。各企業のコンプライアンスの遵守、米トレサビリティ法への対応、産地情報の伝達などさまざまな手法を駆使し、米の業界の信頼回復に全力で取り組みます。
 昨今、元気のいい農産物の直売所が全国各地に見られるようになりました。これは、消費者が生産者との出会いを通じ、「顔」の見える安全・安心な農産物を買い求めているのです。ネットショップなど「顔」が見えない商売が台頭している中では、非常に大切なことであり、我々業界としても信頼回復のために見習うべきです。顧客ニーズを的確に捉えるために、現在までの「流通」から、産地と消費者をつなぐ役割を担ってまいります。

5. おわりに

 明日の状況がわからない、まさに【混沌】と呼ぶべき時代がすでに到来しております。
政府・政治に何かを求めるのではなく、自分の会社をどう経営し、米業界をどう盛り上げていくのか、「青年経済人として何ができるか」を原点に立ち戻り、未知の可能性を切り拓いていくのです。
 私たち日本青年会議所米穀部会は、米穀業界がいかに苦境に立たされようとも、英知と勇気と情熱を持って、業界をリードし、明るい豊かな社会実現を目指すことをお誓いして、ここに2010年代基本理念といたします。

2009年度日本青年会議所米穀部会
未来ビジョン策定会議