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コラム「説く盛りどんぶり」 62杯目

漁師とインターネット

IT(情報革命)は既存の業界常識を変えていく。近海で操業する漁船も無線から携帯電話に変わってきた。便利だからである。インターネットの使い道でも日本独自の発達がある。日本人の得意とするところに、「小型化」と「複合化」があります。
あらゆる物を小型化していく。たとえばノートパソコン、デジタルカメラ、液晶テレビ、少々古くはラジカセやファクシミリなどです。
携帯電話も当初はショルダーホンといって肩から重たいバッテリーを担いで歩いていた。それが今や携帯電話にインターネット機能がついていて重量も100グラム以内である。

携帯電話にインターネットがついてくると新たな使い道が生まれてくる。パソコンを持ち歩かなくても、相手の都合を気にせずに世界中、日本中の相手と1回数円で交信ができるからだ。
電話と違い文字情報で記録に残せるのが良い。
次世代機能では動画も瞬時に送れるし、衛星から常に位置情報も把握できるようになるそうだ。
おもしろい例では近海で操業している漁船より、捕れたての魚情報を直接料理店、レストランに携帯電話のインターネットから発信する。海上にいる時点で売り先を決め、価格交渉する。
これは画期的なことで漁協とは交渉が大変であったようですが、実におもしろい話です。
今や、日本漁業は存続の危機ですが、近海で捕れる魚、いわゆる鮮魚は高級魚になってきています。
捕った魚を漁協に持って行き中央卸市場や地方卸市場そこから専門業者を経て店舗やユーザーの手に渡っていた流通が一変してしまうのです。
なによりも魚は「鮮度」が一番の売物です。
誰がなんという漁船で、どこで何時にどんな魚を捕り、それが今食べている魚だよ。(しかも写真つき)こんな会話がある料理屋で食べてみたいと思いませんか。
私たちが買っている「物」には必ず「情報」がついています。その情報の内容が付加価値になっていると思うのです。
ITとかは情報先端産業のみのものではなくて、実はオールドビジネスをニュービジネスに変えて行くひとつの道具でもあるのです。
米業界も計画流通とか計画外流通とか「官」に頼っていたらダメになります。本来、作ったものを売るのでなく、売れるもの、欲しがるものを考え、作るべきではないでしょうか。
流通業者も大変厳しいことですが、競争の中から始めて知恵を出し、商品開発など生まれてくるのでしょう。
その証拠にスーパーなどの米売場も納入業者一社独占の時代から複数競争が当たり前になり、活性化されてきました。その時点で初めて消費生活者である、お客様の目に止まると思うのです。
生産者と消費生活者との直接取引もかなり定着してきました。
米専門店も米しか売っていない専門店でなく、米にまつわる情報も一緒に買って戴く専門店になる必要があります。
インターネットも使い方次第であると思うのです。

みのる

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